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お知らせ/自著物解説『よろこばせ一九』 | 07.03.03 (土)

『よろこばせ一九』について

『コミック乱』2007 年四月号( 2007/02/27 発売 )に載ってます。もし…そこなお方、読んだってくだせえな。たのんますだぁよ。

以降、ネタバレ含みます。


ikku.jpg
いや、そんな理由でパクっちゃダメです(と、言っておかないと作中人物の主張=作者の主張だと勘違いする方が出てくるので……)

著作権という概念が無い時代ですしね。 過去の作品を踏まえるのは普通に行われていたわけで、 一九に罪の意識は無かったでしょうし、非難されることでもないんですけどね。 (とはいえ、他の版元の作品が流通してるあいだは、その作品のクローンを出版しないというギルド的な掟はあったようです。とうぜん掟を破ると業界から村八分にされて商売が続けにくくなる、と)

で、膝栗毛というやつ。後半にいくにしたがって狂言などからの換骨奪胎の度合いが増していっているらしいです。狂言はほとんど知らないので自分にはよくわかりませんでしたが。 たぶん一九には武士の文化である狂言を庶民にわかりやすく伝えるという、 啓蒙的な意図があったんじゃないですかね。

で、自分にわかる部分 - おそらく読者にもわかる部分 - で、いちばんあからさまにパクリと思われたのが〝風が吹けば桶屋が儲かる〟のくだりだったので、そこをチョイスしました。

風桶

が、納品時に担当氏から尋ねられました。
「本当に、パクリなんですか?」

桶屋が箱屋に変わっていたので、あきらかに一九が後だろうと勝手に思い込んでいたのですが、 一九がオリジナルという可能性もあるわけです。さあヤバイ。その場は
「たぶん……一九より前に存在すると……上方落語にもある噺だから……」
と担当氏には答えましたが。

図書館に行って『醒睡笑』をザーッと調べても、〝風が吹けば桶屋が儲かる〟の話は出てこない。 いよいよヤバイか?ピンチですか?

こんなときにはインターネット。判明しました。

出典とされるのは『世間学者気質』の出版が明和四年( 1767 )。 膝栗毛の刊行が享和二年( 1802 )なので、膝栗毛の方が 35 年ほど後になりますね。

しかし、『世間学者気質』でも『膝栗毛』でもネズミがかじるのは箱。 箱が桶に変わったのはさらに後世になってからだということです。 へぇ~。

挿絵

今回、一九の作品の模写が多いのですが、 原書の挿絵は当然ながらネタバレになってないような挿絵ばかりなので、 マンガで引用するために大きく改変してます。

奇想についてのくだりで模写したのは、風来山人(平賀源内)著の『風流志道軒伝』の手長人と足長人…を国芳が描いたもの。 設定では穿胸人とか面白いんですけどね。絵としてわかりやすく奇想っぽいのが手長人と足長人だと思ったのでそれにしました。

『風流志道軒伝』の挿絵が見つからなくて。
古典籍総合データベース(http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/
を発見したのは原稿を納品した後でした。

しかたがないので、原稿では『風流志道軒伝』に着想を得た国芳の絵
国芳 - 浅草奥山生人形
をトレスしました。

一九のひととなり

マンガではコンプレックスの塊みたいに描いてしまいましたが、 実際の一九は嫉妬心のカケラもないような人間だったらしいですね。 めったに人を誉めなかった馬琴が一九を褒め称えているんだとか (岩波文庫の解説からの受け売りです)

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コメント

1: Marilu (2011/09/20 04:14)
I see, I supopse that would have to be the case.

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