『マーヴェラス』(SFC)プレイ記録
『マーヴェラス ~もうひとつの宝島~』(スーパーファミコン) 1996 (c) Nintendo
あらすじ
内燃機関が歴史上に現れ昔ながらの海賊が姿を消す頃、発明家にして大海賊マーヴェリックは自身の宝を、とある島に隠したという。
宝は彼みずからが考案した数々の仕掛けによって守られ、いまなお見つかっていない……。
>ひと夏のキャンプを楽しんでいた
>ごく普通の少年達が巻き込まれた、伝説の海賊
>「キャプテン・マーヴェリック」の秘密とは?
↑公式サイト(?)より
購入日と第一印象
2004/10/31。ハードオフにて中古説明書無しのマーヴェラスを315円で購入。相場は知らないが、まず間違いなく掘り出し物だと思う。スーファミ後期の隠れた名作だと聞いている。
ゲームの内容は3人の主人公を操作して、とある島に隠された海賊の宝を探す……という、アクションの少ない謎解き中心のゼルダという感じ。
主人公が3人というのがミソで、3人で大きな岩を動かしたり、一人がオトリになってるうちにもう一人が……という風にイベントを進めていく。
つまり、近年のゼルダ(4つの剣)のルーツになってるゲーム。隠れた名作と言われるだけのことはある、という証拠のひとつですな。
プレイして気がついたのは、ミニイベントの魚釣りのシステムや、釣られる魚のふてぶてしい顔など、色々な部分がその後の64ゼルダや風のタクトにつながっているという事実。ゼルダ好きなら絶対楽しめるゲームだと思った。
【追記】
公式サイトによれば、 マーヴェラスのシステムは『ゼルダ』+『新鬼が島』とのこと。
「何度も先生のオッパイを調べる→怒られる」は、
このゲームを遊んだ全員がやっているはずだ!
でもまあ、隠れた名作に共通する事実がひとつある。それは、
「たいして売れなかった」
という点だ。売れてりゃもっと世に知られているわけで。
このゲームを見ていると、あんまり売れなかっただろうというのも想像に難くはない。いいゲームではあるけど、あまりに優等生臭が強すぎる。
仮に学校に図書室ならぬゲーム室があって、このゲームがあったら大人気だったろう。親が誕生日に買ってきたら「ケッ」と思いつつ遊んだら楽しかったと思うだろう。けど、子供が自分のこずかいでこれを買うかどうかと言えば……ねぇ。
キャラデザもなんかバタくさいし、主人公の3人組が「お調子者、デブ、メガネ」ってのも、1996製でそれは無いだろうというやつだ。
すばらしいと思う事は、このゲームのディレクターの小野塚英二氏が、のちにゼルダの開発チームに採用されたという点。(氏は『時のオカリナ』のダンジョンデザイナーとしてゼルダチームに加わっている(参考:→ほぼ日『樹の上の秘密基地』))
売り上げ以外の部分でクリエイターの資質を評価する目を持っている、というのが任天堂の強さの秘密であろうか?などと考えた。
オープニング
大海賊マーヴェリックの隠した宝へと導く3つの鍵を、なぜか島の猿が守護している。その鍵を悪人の手から守るのが、そしていつか現れる善なる人間に託すのが、その猿たちの代々受け継がれてきた使命らしい。
なぜ猿たちがそんな面倒な使命を負っているのかは、結局グームをクリアしても謎のままだった。きっと大海賊マーヴェリックに大恩があるのだろう、と推測するほかはない。
オープニング・デモは秘密の守護者である猿の末裔・ウィンキーが16歳の誕生日に長老から役目を引き継ぎ、鍵を狙う海賊(この物語の舞台は現代……少なくとも20世紀後半以降のはずなんだが……)から逃げ出すところまで。
1章
さて、発明家にして大海賊マーヴェリックのお宝を探して出発の章。なんかうるさく「こっち来て!」と叫ぶサルがいるのでついていったら、 サルの仲間が檻につかまっている。
仕方がないので助けてやると、
「あなたたち良い人間。(マーヴェリックの宝へと導く)鍵をあげましょう」
と言われて強引に鍵を押し付けられてしまう。
自発的にサルを助けたわけでないので、良い人とか言われても。冒険への動機付けとしてはかなり下手な演出ではないかと。
で、マーヴェリックが残した宝を探す冒険へ出発。宝を守る仕掛けの1種が「ロボット」っていうのはまだギリギリ許せても、わがまま妖精ポリー、なんてものを登場させちゃいかんだろう、と脱力。
それどころか魔力を秘めたクリスタルなんて代物が出てきて萎え萎え。舞台が現代なんだから、魔法に頼らずにヴェルヌ的なSFに徹して欲しかった。
ともあれ誘拐された先生を助けるべくマーヴェリックのお宝が眠るダンジョンの入り口まで行くと、クリスタルの魔力で入り口が一瞬だけ開き、扉の向こうへ先生が閉じ込められてしまった。
「それがマーヴェリックの仕掛けたワナの一つさ。クリスタルは4個必要なんだ」
と解説君のインコがのたまう。うるせえボケ。焼いて食うぞ。先に言えっつーの。
1個のクリスタルで一瞬開くのなら、その一瞬で先生を引っ張り出せばいいんじゃねーの?と思うのが当然だと思うが、そんな疑問に答えることは何も無くいやおうなしに残り3個のクリスタル探索をさせられることとなった。
「俺たちは3人いるんだ、おとなしくしほうが身のためだぜお嬢ちゃんハァハァ」
「いやぁぁぁぁっ!」
……というシーンではない。
2章
水不足に悩む島。クリスタルの魔力でタイムトラベルして、過去を代えて島の水不足を解決し、冤罪で死んだインディオの汚名を晴らすという話。
20年前にタイムトラベル……という事らしいのだが、行った先はどう見ても西部開拓時代な雰囲気(注:この物語の舞台は現代…の、はずなんだが…)。合理的な説明は一切無し。
当然パラドックスもおもいっきし発生しているわけだが、パラドックス回避なんぞ説明する気配のケすら無し。
インディオの娘。「父はただいまるすにしています。しょうらいは先生になりたいです!」
←脈絡の無いセリフに萌え。
最後に、ボス戦らしきものがあった。
クリスタル盗みの真犯人の山賊たち。自分の操作するキャラを切り替えながら戦う。初プレイ時は面白かった。
3章
寄生植物がクリスタルの魔力で知能を持ち、動きはじめちゃった島。この章はかなり面白かった。普通にトリフィド系のちょっと怖いドキワク感あり。
『マーヴェラス』における、いわゆるゼルダ的な
「どうやって倒すの~?キイッ!ぐわっ!ななななるほど!倒せたウヒー」
というボス戦はこの章のボスのみなので、この章がこのゲームの一番美味しい部分だと言える。
3章ボス。3段階に変化。プレイヤーも少年3人をフルに使う必要アリ。倒し方がわかればアクション的にはまったく難しくないんだが……
4章
クリスタルの魔力で人間が蟻よりも小さくなってしまった王国がある島の話。
ん?小さく……?。
『ゼルダの伝説 ふしぎなぼうし』
もたしかそういう話だったような。
『ふしぎなぼうし』もまた、『マーヴェラス』を換骨奪胎した作品だったのか?
それはともかく、1章でアイテム扱いで仲間になった「わがまま妖精ポリー」は、 妖精ではなく単に小さくなった人間だった……と。どうでもいいが。
ようするに、クリスタルの魔力で虫サイズなみに小さくなった国のお姫様が、国家に害を為す蟻どもを倒してもらうために、王国の外にいるという伝説の巨人(普通サイズの人間)を探すために島の外へ出て、主人公3名を連れてきた……と、いうことらしい。
ところが主人公3名も、王国に入るとクリスタルの魔力で小さくなってしまう。3人を連れてきたポリーの面目は丸つぶれ……という展開。
- 魔力の及ぶ範囲が王国とその周辺までなら、なぜ外界へ出たポリーの大きさは元に戻らなかったのか?一切説明は無い
- 王国では外界にいる普通サイズの人間を巨人と呼び、それもいるかどうかわからない伝説扱いとなっている(注:この物語の舞台は現代のはず……)
- 王国の人間は自分達が小さいのではなく、蟻や他の虫達が大きくなっていると考えている。 特に蟻のことを「青の者」と呼んで恐れている(注:物語の舞台は現代……)
- 王国の兵士は鎧を着て槍で蟻と戦っている(注:舞台は現……)
- 兵士を除いて、王国は近代化されている。電気は通っているし 城下町ではブリキのロボットが売られている(なぜなら現代だから)
- 人間の縮小化が起きたのは、ここ数年の事らしいが、外界の様子は伝説化している(……)
製作者は物語の整合性なんてものをまったく気にしてないらしい。その姿勢はこのゲームの全編に渡ってあちこちに見られるが、この章は特にそれがひどかった。イベントもおつかい的なフラグ立てが一番多く、残念な章。
4章ボス。女王蟻。でもボス戦の内容は、タイミングに合わせてAボタンを押すだけのしょっぱいミニゲーム。がっかり。
5章
で、必要なクリスタルが集まりましたよ、と。時を駆けるクリスタル、命の源のクリスタル、物質を拡縮できるクリスタルを加えると、はたして何が起きるのか……
マーヴェリックのダンジョンの扉が再び開きました。それだけ。
……マーヴェリックさんよぉ、あんた魔力の使い道間違ってるよ……
ともあれ、扉の向こうに消えたはずの先生を助けなくては。先へ進もう。おや、今くぐったはずの扉が閉じてて、鍵穴なんか付いちゃっている。持ってる鍵はすべて合わない。……う~ん、これは……閉じ込められた……という事ですか?
そうならないためにわざわざクリスタル集めたのとちがうんか?ええっ!?
などと怒鳴ったりはしない。なぜならもうあきらめたから。もういいよ。ストーリーは破綻してても。ゲームさえ面白けりゃそれでいいよ。やるべき事はただひとつ。ダンジョンを突破して先生を助けてマーヴェリックのお宝にして発明品を見つけて脱出。それだけだ。
ボスはいないので、ダンジョン脱出がこのゲームの最後のイベントとなる。さて、いかなるパズルか?3人のキャラ特性を駆使して解決せねばならん作業は何か?期待するべき点はそこのみだ!俺の知力を限界まで使わせれ~っ!!
ん……?
「Aボタンを連打しよう!」
何……?
「Aボタンを連打しよう!」
………
最後のイベントが単純作業かよ!!!(怒)
はぁ。ガックシ。
2作目以降を作る気マンマンなエンディングに涙を誘われた。
1章と2章でチョロっと出たきり姿を消して、エンディングでようやく再登場する海賊のボス。そのくせこんなライバル的セリフを吐かれても……
クリアしてみて
正直、色んな意味で惜しすぎるゲームだった。パズルは面白いんだけど……。話がなぁ。点数をつけるとすれば7点だな、やっぱり。任天堂なので点は辛め。
1度目のクリア時ランクが、「ちょっとマーヴェラス」だったので、とりあえずもう一度プレイしてみた。スコアが良ければごほうびに先生が脱ぐかと思って(嘘)
でもまぁ、何らかのおまげグラフィックは見られるかと期待して。
「ちょっとマーヴェラス」が「とってもとってもマーヴェラス」に!やったぜ!
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カオスエメラルドを全部集めた時のソニック(初代)よりひどいとは(号泣)。
ネタバレ
けっきょく、マーヴェリックの隠した宝とは何だったのか? 1996のゲームだしネタバレしてもいいかと思うので書く。白字で。
宝は脱出用の“気球”だった……。
>発明家にして大海賊
ああそうですか。そうでしたね。ハァ~ア……。