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[SF] グレッグ・イーガン『順列都市』 感想

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『順列都市』感想

寝る前に一章づつ、ちまちまと読み進めて読了。 図書館で借りたら、要所要所に○や傍線があってうざかった。 自分にとっては、『祈りの海』『しあわせの理由』につづいて3番目に読んだイーガン作品になる。 宇宙消失の方を先に読むべきだったのかもしれないが、 カバー裏のあらすじを読んで、こちらの方に強く惹かれたので。

正直、圧倒的なアイデアと論理の氾濫に溺れ死にしそうな読了感を得た。 この感覚を感じたのはシマックの『都市』の後半部を読んだ時以来だ。 理解するので精一杯。 いや、理解できてない部分は多々あって話の筋をかろうじて追えたにすぎないんだが。

まず、世間一般のイーガン長編に対する
「ものすごいアイデアが詰め込まれているが、そのために消化不良を起こしている」
という指摘はまったくもって正しいと思った。

しかし言うなれば
「だが、それが良い」
というやつだろう。

たとえるなら
「エビ・カニ・ウニ・イクラ・大トロ・アワビ丼(大盛り)!」
あるいは、
「大盛りじゃんがららあめん全部入り!」
ともいうべき作品。

それぞれの具材を小鉢に分ければ、 お上品かつ高い評価のコース料理(短編集)に仕上がっただろう。 実際、『祈りの海』『しあわせの理由』がそれに当たる。 でもドンブリ料理の魅力ってあるでしょ全部入りの多幸感ってあるじゃない!と。 全部入れちゃいました!的な嬉しさ。

それぞれの具材を単品で料理したときのような洗練度とキメ細やかさは失われているんだけど、 勢いよくムシャバクとかっこんで食べ終えた後ウットリしながら茶をすすりつつ
「フゥ~」
と余韻に浸るような、そういう魅力に溢れた作品だった。 (だから、ちまちま読まずに一気に読むべき作品だったと読後に後悔した)

例えの話ばっかりでなんだかなぁ、という感想だな。

作品としてのツッコミ所は多いと思う。 根幹となる塵理論も、 はたして塵の中のパターンと化した人類が時間軸に沿って思考するか疑問だし。

作話的にも、 トマス・リーマンなどラストにおける 〝小説としての体裁を保つハラハラドキドキシーンを入れるためだけ〟 に必要だったキャラという感じがしないでもない。 第二部においてリーマンのエピソードだけが、 他のキャラの行動の影響もほとんど無しに自己完結しちゃうのはいかがなものかと。

コピーとなった後もかたくなに自分を守り続けるリーマンと、 コピーとなった後に過去の自分を捨てて人格改造をしまくったピーがまったく絡まないのは、 狙ってやっているのかもしれないがもったいないと思った。

そういった細かい問題点が無くもないけれど、やはり噂どおり凄い作品だった。 不思議と打ちのめされた感じは無かったが、 これは自分がイーガン作品に慣れてきたということだろう。 (初めてイーガンの作品を読んだ時の、自分への無力感と作者への畏怖と言ったらなかったもんだ) さて、早いとこ『宇宙消失』を読まねば。

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