ママチャリ旅行 2016 埼玉・千葉・茨城の旅(二日目)
一日目のエントリはこちら:ママチャリで東京から霞ヶ浦まで行ってみた 一日目 | 桝席ブログ
二日目
夜が明けた。時間を無駄にせず、早朝から出発。
一夜明けたら、昨日の夜には暗くてわからなかったが、田畑・里山の風景が眼前に広がっていた。
ようやく、旅に来たと実感。都市化されたベッドタウンが続いているあいだは、どれほどの時間、自転車を漕いでも旅に出たような気にはなれない。どこかで、都市と都市を区切ってリセットする非都市の部分が、ある程度続かないことには。
東京には空がないとは言わないが。つーか、あるけど。しかし、空だけを見たい、ビルやマンションの見えない場所に行きたいと思うと、やはり、ちょっと難しい。
牛久市で文化財というと、言うまでもなくシャトーカミヤだ。旧醸造場施設が国の重文に指定されている。その前を通過したのだけど、開園時刻ではなかったので、今回はあきらめた。いちおう、サブ目的地ではあったのだけど。
せめて外観を撮るだけでも、という気持ちが一瞬わいたけど、この日はタイムテーブルが読めなかった。寄り道は慎むことにし、一枚の写真も撮らず通過した。
牛久沼と牛久城はあきらめた。したがって、牛久大仏に向かいながら、途中にある城址を攻めた。
>絵に描いたような、いかにもな沼が! 岡見城(茨城県牛久市) – 単独記事を立てるまでも無い城址 | 桝席ブログ
http://www.masuseki.com/wp/?p=7757#okami_castle
>西は無防備!小粒だが精緻な境目の城・小坂城 | 桝席ブログ
http://www.masuseki.com/wp/?p=7893
埼玉県川島町の正直と茨城県牛久市の正直。ふたつ集まったからには、全国の正直を集める旅を始めなくてはという、よくわからない義務感が沸いてきた。困る。
牛久大仏への途中にある観音寺には寄った。国重文だと勘違いしていたけど、県指定重要文化財だった。ともあれ、仏教に対する敬虔な気持ちになった度では、牛久大仏なんぞ観音寺にかなうものではなかった。牛久大仏を見るなら、セットで観音寺もぜひ見ておくべきだと強くお勧めする。
>リサイクルの味わい深い美。 観音寺(牛久市) | 桝席ブログ
http://www.masuseki.com/wp/?p=7900
そして、牛久大仏へ……向かおうとして、ちょっとだけ道に迷い、こんもりとした古墳のようなものの前に来た。
上に何かある。登る道もある。誰かのお墓があるだけかもしれないが、ものの30秒ですむことだ、登ってみよう。
え?ここ城址なの?通りすがっただけで、すごいツモ!……と興奮したが、「奥都城」は神道形式のお墓のことなんだと。ぬかよろこばされた!
……と、twitter にはつぶやいた。ちゃんと「大野家之」と書いてあるんだから、よく読もうな、自分。
そして、ついに、この旅のメインディッシュ・牛久大仏が登場。思ってた以上に、よかった。すこしづつ近づいていくうちに気分もどんどん盛り上がっていったので、ちゃんと入場料分、楽しめた。
深夜バスで向かって、目が覚めたら大仏様の足元、とかだと、あまり楽しめなかったかもしれない。旅行の命は目的地じゃない、その過程だ。
>広告塔でもいいじゃないか。偶像だもの。 牛久大仏(茨城県) | 桝席ブログ
http://www.masuseki.com/wp/?p=7915
楽しんだ分、予想以上に牛久大仏で時間を消耗してしまった。日没までに土浦城と霞ヶ浦を見ておきたかったので、巨大な城域を誇る美浦村の木原城は涙をのんでスルーすることに。
今回、サーモスのフードコンテナに氷を入れていた。有能すぎた。
以前は、250ml~750mlぽっちの冷たい水なんて一瞬で飲み干しちゃうじゃん。100 均のプラ水筒に常温の水でええやろ。わざわざ重たい魔法瓶とかばかみたい……と思っていた。
いまなら、おろかだったのは過去の自分だと断言できる。サーモスでも象印でもタイガーでもいいが、氷を溶かさずに運搬できることは、夏の旅行で熱中症をふせぐのに非常に役立つと言わねばなるまい。もちろん、コンビニなど朝もしくは途中で氷が調達できる場所があることが前提だが。
冷たい液体を入れておくのではない。ただ、氷を入れておくのだ。飲み物は、別に常温で持っておく。
そして、飲む時に、氷の入った魔法瓶に入れ、飲み干すのだ。ここで飲み干すことが重要。氷だけになれば、魔法瓶の中の氷は驚くほど溶けずに長持ちする。
熱中症対策としては、他に、もちろん塩を持ち歩いて定期的に舐めたし、濡れ手ぬぐいを農作業のおっちゃんのように頭に垂らしたり……というようなことをやった。公園があるたびに、100 均のプラ水筒に水を補給した。
田舎は公園が少ない(わざわざ公園を作らなくても、そこらじゅうに自然があふれてるから)ので、まだ大丈夫はもう危ないの精神で水を足していったほうがいい。
あと、ライムジュースのボトル(50cc入りくらいのやつ)も持っていっていたが、これも有能だった。公園で汲んだ単なる水道水が、氷とライムのおかげで美味しく飲めるのだから、自販機で百円玉を大量に消耗せずにすんだ(それでも2~3本は買ってしまったが)。
特攻隊の基地という哀しい歴史のある阿見町だが、のどかで堆肥の匂いのあふれる、よい町だった。
コメよりも利益率がいいということで、田んぼをレンコン畑(沼地ともいう)に変える農家が多いらしい。
利益率はいいかもしれんが、機械化のすすんだコメ作りより重労働だろうに。しかし、ウェットスーツやらポータブル暖房器具も性能が上がってるし、レンコン収穫用の機械も開発が進んでいるのかもな。需要あれば供給あり。
チャリで来た。オンライン地図の距離検索だと、我が家から 76km。
言いたいことはわかるが、ストライクの本来の意味は「打つ」なのだから、英語力はないなと思った。
土浦市でよく見かけた看板。観光のためなのだろうが、普通に視認性が悪くて困る
なんかかっちょいい高架があった。かっちょいいのだけど、自転車は通行不可で残念。
土浦ニューウェイというらしい。つくば万博のときに作られたそうだ。
>土浦ニューウェイ – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E6%B5%A6%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4
ハイウェイはかっこいいのに、その下はシャッター街と化していて、うーむむむむであった。
だが、土浦城はわりと良かった。特に樹木が。
>静かな自信とみなぎる樹木 土浦城(茨城県) | 桝席ブログ
http://www.masuseki.com/wp/?p=7930
私が樹木の写真を撮ってるのを横目に、高校生(たぶん)の男女3人が、祭囃子のためと思われる、篠笛の練習をしていた。まだ始めたばかりらしく、メロディーらしいメロディーにもなっていなかった。
いいねえ、よ!青春してるねえ!などと思った。まあ、本人達はそんな風に言われたら、
「は?なに言ってんだオッサン?うざっ。死ねよ」
てなところだろうが。
いつだって、過ぎ去ってから、ああ、あれが自分の青春だったのだ…と気づくのだ。そんなもんだ。
日が翳ってきた。いよいよ、本日最後の目的地、霞ヶ浦へ。
これまた、だからどうだというほどのものはない。広いねえ、海っぽいねえ、とは思った。一見、水質がアレで泳ぐのには適さないようには見えない。変なにおいもしない。
しかしまあ、ここまで来た!という達成感を得るには充分であった。来た。チャリで。板橋区から。
筑波大学都市デザイン研究室の提案で、コンクリブロックがこのようにペイントされたのだという。
>「三帆ひろば」(川口二丁目地内暫定広場)の整備について | 土浦市役所 | マチパブ
http://machi.jpubb.com/press/160007/
ペイントされた数字で頭を使う遊びに使うなり、ブロックをテーブルとして使うなり、座るなり、自由な発想で楽しめる空間として使用されることを想定したそうだ。
ご覧の通り、誰もおらず、活用されていない。他所の土地ながら、また税金で無駄なものが作られたのか……と思った。
……が、経緯はもうちょっと複雑だ。かつてここには、旧京成ホテルがあったそうだ。新しいホテル建設のために、基礎部分まで作られたが、計画は頓挫しホテルは建てられなかったらしい。
>八島いさおブログ:【三帆ひろば】都市デザインの発想で、霞ケ浦湖畔に新しい散歩を楽しむ公共空間ができました。
http://www.yashima-isao.com/archives/4381802.html
おそらく、経営破たんかなにかで、土地も土浦市に差し押さえられたのだろう。だが、差し押さえた土浦市も、こんなものもらったって……という感じだったのではないか。駅周辺もシャッター街化してるのに、商業施設として買い手がつくわけがない。中途半端に基礎だけ作られてて、残りの部分を建てる費用はおろか、撤去費用も捻出できそうにない。
そういう苦しい状況の中で、何か出来ないか考えて、基礎部分のブロックをテーブルに見立てた筑波大学都市デザイン研究室の提案を採用したと。それは目論見どおりに活用されてるわけじゃないかもしれないが、すくなくとも無駄なお金はほとんどかかっていない。なら、よしとしようじゃないか……
……と、いうようなことを後から調べて考えたので、私のような人間から誤解を受けないためにも、三帆ひろばがホテル建設予定地に残された基礎を利用して作られたということ書いた現地説明板を設置したらどうですかね。
個人的に、サバゲーやったらええんちゃう?と思ったけど、霞ヶ浦が汚れちゃうのかな。最近のBB弾は生物分解性プラスチックだったりするの?(サバゲーやらない人だから、よく知らない)
さて、日も暮れ始めた。疲れた。風呂に入らねば。
ビジネス旅館土浦 – 超音波温泉にも、名前にグッとこないわけでもなかったが、沸かし湯ながら霞ヶ浦を一望しながら大浴場に入れる、国民宿舎水郷|霞浦の湯へ向かう。
偏向光ガラスによって、中から外は見えるが外から中は見えない仕組みの大浴場で、ゆっくり景色を楽しみながら、お湯で体を癒した。良かった。前日がチェーンのスーパー銭湯だったので、ことさら良かった。
湖畔にはオランダ式風車を立てねばならんという呪いでもあるんだろうか。
土浦で宿泊してしまうと、明日の帰路が大変になるので、ここからは帰路。南へ向かう。せっかくだから……とつくばや大洗を目指したりはしない。
阿見町の謎施設2。もの派の作品か?と思った。どうやら自衛隊の燃料基地らしい。
と、いうほど盛り上がってない。なぜなら私は、いうほど珍来のコスパがいいとは思わないからだ。
たしかに珍来は量が多い。うっかりセットにしようものなら、食べきれない量が出てくる。 だが、値段もセットだと 900 円前後するのだ。
食べきれない量の 900 円よりも、適切な量の 650 円の方がありがたい。満腹になる単品 650 円より、腹八分目の単品 450 円にギョーザでもつけた方が食事としては楽しい。というわけで、もう、そんなに食べられなくなった非ガテン系のオッサンにとっては、そーんなに魅力的ではないのだ>珍来。
で、単品で満腹になることがわかってるので、その名も「うまいラーメン」を注文した。
白菜と豚肉を煮たのんをのせたラーメン。豚肉が煮込みすぎでパサパサになっており、
「うまいラーメン?」
と聞かれると、答えは
「それほどでもない」
だったけど、まあ、値段なりの妥当な味と量であった。
がんばって取手まで戻った。再び牛久のネットカフェに止まって、
「また来たよ、この人……」
と思われたくなかったからだ(自意識過剰)
ちなみに地名は「こぼけ」と読む。
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